企業立地ナビ

函館地域に立地している事業所の皆様をご紹介しております


[お話いただきました]
代表取締役社長
千葉 仁 様

自社の強み(特徴的な技術や製品)についてお聞かせください。

地元(道内、道南等)の素材を活かした商品開発、及び各企業様とのコラボレーション製品の開発に力を入れています。
現在、特に企業様とのコラボレーション製品開発に力を入れておりまして、中でも地元の素材を活かした製品開発に注力しています。例えば七飯町の林檎であったり、ネギなどの農産物素材を前面に出した商品で、他社との差別化を図っています。今、増えているのは函館管内で著名な地元企業さんとのコラボ商品で、大手メーカーでは対応出来ない生産ロットや、小回りの効く対応で地元色の強い商品開発をしています。
当社の定番商品である、きび団子では「ラッキーピエロ」様とのコラボ商品を、結構前から継続的に作っております。最近であれば「道南いさりび鉄道」様とのコラボで、「ながまれ号」のオリジナルパッケージ版を作りました。素材感を活かしたものとしては、函館美鈴コーヒー様とのコーヒー味の餅や、宇治園様との抹茶や、ほうじ茶の餅菓子があります。さらに金森商船様とのコラボ商品として、当社のくるみ餅に八雲服部醸造さんの味噌を合わせた「味噌くるみ餅」があります。くるみ餅と味噌は非常に相性が良いうえに、味噌はその土地特有の味わいを持つことから、地域性も出せる、大変差別化のできる商品となっております。

こうした商品開発はどんな切っ掛けで始まるのでしょうか

コラボ企画については、当社の方から提案させていただく事が多いです。商品としての仕上がりイメージを、用意してのアプローチですね。
地域で事を起こす場合、一社単独でやるよりも企業が強みを持ち寄り、協業することで、より盛り上がります。その盛り上がりが、地域の外へと発信する原動力になる考えていまして、結果として企業同士のwin-winにつながれば良いかなと思っています。

そうした積極性は会社としての気風なのでしょうか

私で四代目となりますが、取り組みはじめたのは最近です。代表に就任して10年になりますが、積極的にコラボ商品に取り組み始めたのはここ数年の事です。大手メーカー同士のコラボというのは一般的ですが、話題性の提供という面でも、注目度が高まりますよね、お客様へのインパクトも強いと思うんですよ。これが一地方であっても、話題性としては十分に訴求力が高まって、双方の知名度アップにつながる面白い事ができるという発想です。自社だけが良ければという事を続けるよりも、地域がタッグを組んで面白い商品を企画して、発信したものが全道、全国へと波及して行くような取り組みが、大手との差別化につながって、競争力を維持できる方法だと思います。
昔はきび団子と言えばコレ、という特徴が浸透しすぎていて、北海道銘菓とは呼ばれていても、一つの店舗に一社のきび団子が並ぶだけでした。当社は後発であり、きび団子としての差別化には限界を感じましたので、きび団子のベースを活かしつつ、地域素材を練りこんだ、多様な製品へとシフトさせました。商品名としても「きび団子」ではなく「餅菓子」というジャンルに移行し、バリエーションを増やしました。きび団子の保存性の良さを保ちつつ、利用する素材も吟味、厳選する造り込みへのこだわりを最も大切にしています。

コラボ商品として記憶に残るものをお聞かせいただけますか

前面にお客様の名前が出る商品としては、五稜郭タワー様の商品や、函館山ロープウエイ様の商品など様々あった中で、特に印象深いというと、新幹線開通の前年に発売した、ラッキーピエロ様の商品ですね。
ラッキーピエロ様との打ち合わせの中で、新幹線の開通で、観光の方がどっと来るのに、記念になる商品が何もないね、という話になりました。当社としては、ラッキーピエロ様の代表的な商品である、チャイニーズチキンバーガー味の餅はどうでしょう、と提案しましたが、御社の得意な普通のきび団子を、ラッキーピエロのオリジナルパッケージで、販売したいと言われました。価格も当社と同額で、販売することになりました。結果、売れ行きも順調で、第二弾として、一口タイプのオリジナルパッケージ版の販売にも繋がりました。これはラッキーピエロ様の店舗でしか、買えませんので、お土産として箱買いされる方もいて、数あるオリジナル商品のなか販売個数で1位、金額ベースでも7位と嬉しい報告をいただきました。当社としては、それ以降のコラボ商品をプレゼンする際の、大きな実績として助けられた商品となりました。

函館地域にもっと増えてほしい業種・業態の企業はございますか

原料加工メーカー(フリーズドライ、粉末加工等)が現在、地元には無く、道内を見回しても限定的な状態です。こうした企業様が、一社でも地元にあれば、もっと地元素材を活かした商品開発が可能になります。フルーツ栽培に強みを持つ七飯町だからこそ、加工できるメーカーがあれば、当社だけでなく今後北海道ブランドでの商品開発に、広く活用できるのではと考えています。
当社のレアフルも、当初は加工の依頼先を探しましたが、安定供給できるところが無いことから、自社での加工をスタートした経緯があります。
原料にこだわる製造メーカーにとっては、北海道は魅了的だと思いますので、企業誘致の対象として是非検討していただきたい分野だと思います。

函館地域で事業を行う上でのメリット・デメリットを教えてください。

メリット:観光人口の多さは他の地方都市に比べても圧倒的に多く、インフラも整っていて、沢山の人が来ることで消費に繋がってますよね。
デメリット:一方、繁忙期と閑散期の落差が大きいのも特徴で、わたしたち製造業にとっては、大変辛い環境です。当社は一般流通のコンビニや、スーパーでの販売が多いので影響も少ない方です。しかし今後の流れとしては、観光などにも対応できる商品を増やしていきたいと思っています。
今まで手をつけてこなかった、地域限定商品やエリアの特性を活かしたプレミア感のある商品づくりも、手掛けていきたいと考えています。

今後の展望について、お聞かせください。

北海道を代表するお土産は多々ありますが、函館での絶対的と言えるような、お土産品を作れればと、常に考えています。七飯には西洋式のリンゴ栽培発祥の地という、語れるストーリーがあるのに、活かし切れていないと思います。こうしたPRについては行政の役割が大きいと思いますので、より積極的に進めてほしいところです。

七飯町のリンゴにフォーカスした商品開発が目立つようですが何か理由がありますか

スタートは隣町の厚沢部町で、黄金千貫というさつま芋の栽培が始まったことを受けて、北海道産のスイートポテトパイを作ろうという発案でした。その後、七飯町でパイを作るなら、地元産のリンゴを使ったアップルパイと進み、リンゴのプレザーブを探しましたが、安定供給が出来ないとの事で、自社で手掛ける事になりました。すると、原料として供給していただけるなら、使いたいという声も届きまして、ニーズがあるなら量産も考えますかと、手をつけたところが想像以上に難航しました。
そんな時、道総研の方から、現在特許申請中の「レアフル」という製造法を紹介され、設備する事になります。 そうなると、商売としては量を作らないとメリットがないので、アップルパイ以外の活用を考える中で、お取引先など、これまでの事業とは違った流れができて、現在は当社の新たな事業としての、可能性を感じているところです。
ただ昨今、果樹園の後継者も減っていますので、いずれは原料の確保のためには、農業法人を立ち上げるとか、農家さんと契約栽培をお願いするなど、一次産業の分野まで踏み込んだ商品づくりが出きると、事業の柱としては本物だなと考えているところです。
自社経営の観光果樹園で、自分で採ったリンゴをその場で加工し、アップルパイやジュースとして、楽しめるレストランを併設するといった、トータルな施設運営を地域でできれば、リンゴ産地ならではの事業になりますよね。

※2020/2/18取材

ご紹介企業基本情報

社名
株式会社 天狗堂宝船
所在地
〒041-1133 北海道亀田郡七飯町字中島205-1
☎︎0138-66-3200 FAX:0138-66-3210
e-mail
takekoshi@takano-net.co.jp
URL
https://www.takano-net.co.jp/

会社概要

代表者名
代表取締役社長 千葉 仁
設立年月日
昭和59年8月6日
従業員数
42人(正社員10名)
資本金
1000万円

主要製品・サービス

・きびだんご・くるみ餅・他餅菓子

主要取引先

三菱食品(株)、(株)高山、コンフェックス(株)、他食品卸問屋